気分がすぐれない・落ち込んでしまう・悩み・心配事が頭から離れなくなる・考えがまとまらず堂々巡りする。そういった気分の不調の原因となる代表的なものが、うつ病と躁うつ病(双極性感情障害)の2つがあります。うつ病にかかる人の割合は6.5%であり、これは約15人に1人の割合です。決して珍しいものではありません。また、日本の場合、若年者に加えて中高年でもうつ病の頻度が高いのが特徴です。うつ病は50%の方が再発するといわれており、再発予防も大切です。
また、明らかなストレスの原因があり、それによって気分がすぐれない・眠れない・食欲が出ないなどの症状を認める場合には適応障害が考えられます。通常ストレス性の出来事や生活の変化が生じてから1ヶ月以内に症状を認め、通常は6ヶ月を超えません。
その他に、統合失調症の前駆期にも、抑うつ気分、不眠、倦怠感など、うつ病のような症状を認めることがあります。
気分が落ち込む、やる気や集中ができない、食欲がないなどの症状が出る代表的な疾患として、適応障害、うつ病、双極性感情障害、不安障害、統合失調症などがあります。
夜眠れない・疲れが取れない・悪夢をみるなど睡眠時に何らかの問題がある状態の際、最も多いとされているのが不眠症です。入眠困難、中途覚醒、再入眠困難、早朝覚醒、熟睡障害により、必要な睡眠時間が十分に取れず、睡眠の質が低下することで日中の疲労、集中力の低下、不調、気分変調などが起こります。
睡眠障害の治療では、生活習慣や睡眠環境を整えることが最も大切です。起床・就寝時刻を一定にして生活リズムを整えます。日中は適度な運動をするなど、活動的に過ごし、寝る前のカフェイン、喫煙、アルコールは控えます。ぬるめのお風呂で身体を温めることも効果的です。就寝する部屋は快適な温度と湿度を保ち、できるだけ外の音は遮断して照明も適度に暗くしましょう。
生活習慣や環境を整えても改善しない場合には、睡眠薬などの薬物治療が検討されます。
また、様々な精神疾患の症状の中に睡眠障害を認める場合があります。その場合は、睡眠障害だけではなく、その精神疾患の治療が重要になります。
眠れない、疲れがとれない、悪夢をみるなどの症状が出る代表的な疾患として、睡眠障害、不安障害、適応障害、うつ病、双極性障害、統合失調症などがあります。
人から注目されることに強い不安や恐怖感があり、社会生活において支障が出てしまいます。劣等感が強く周りの評価に敏感になりやすい特徴があり、人前で話をする時などに強い不安と緊張を感じ、混乱に陥ります。それにより、他人に悪い評価を受けることや人目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じることで身体不調をきたすため、次第にそうした場面を避けるようになることもあります。このように、日常生活に支障をきたすことを、不安障害(SAD)といいます。その他の不安障害の中に、社交不安障害、パニック障害や全般性不安障害が含まれます。
また、発達障害でコミュニケーションや対人相互性の質的問題のある方でも、対人緊張や人間関係が上手くいかなくなることがしばしばあります。
人前で不安や緊張をする、人間関係がうまくいかないなどの症状が出る代表的な疾患として、不安障害、社交不安障害、パニック障害、適応障害、うつ病、統合失調症、発達障害などがあります。
人が生きていく上で、ほどほどの不安を感じることは、自分を守るためにとても大切です。しかし、その不安がいき過ぎてしまうと、日常生活に支障をきたすようになります。いき過ぎた不安を感じるようになった状態を「不安障害」と呼びます。不安障害のなかでも代表的なのが「パニック障害」です。
突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。このパニック発作は死んでしまうのではないかと思うほど強くて自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。最初に発作が起きる原因には、過労やストレスなどが関係していると考えられています。その後、再発することへの強い不安(予期不安)によって発作が起こる場合もあります。
また、発達障害でコミュニケーション、対人相互性、イマジネーションの質的問題により、不安で環境になれずに仕事に行きたくなくなることがあります。
不安でたまらない、環境になれない、仕事に行きたくないなどの症状が出る代表的な疾患として、不安障害、パニック障害、適応障害、うつ病、統合失調症、発達障害などがあります。
誰でも人間関係や仕事上の問題、家庭の問題などでストレスを感じると、心理面、身体面、行動面で変化が生じます。このような変化をストレス反応と呼びます。ストレスに対する反応が強く、ご本人の日常生活が大きく損なわれる場合には、ストレス関連障害として医療の対象となることがあります。
理由もなくイライラしていたり、怒りっぽくなる症状が目立つ場合は、適応障害、うつ病、双極性感情障害などが考えられます。また、統合失調症の前駆期にも、うつ病のような症状を認めることがあります。さらに、女性の方では、環境やホルモンの影響で、気分の波や、落ち着きのなさ、イライラなどの症状を認めることがあり、産後うつ、月経前症候群(PMS)、更年期障害などが考えられます。
突然の息切れや動悸、息苦しさを感じることはありませんか?
私たちは、不安やストレス、イライラの感情が高ぶると、身体にさまざまな症状が現れやすくなります。もちろん、その時の感情や心のバランスの崩れからの症状ですので、体の検査をしてみても異常が見つからないことがあります。また、症状が起こりやすいシチュエーションも、電車の中や人前で話す場面、高所や閉所、橋の上やトンネルの中など、人によってさまざまです。
動悸や息苦しさの症状が出る代表的な疾患として、適応障害、不安障害、パニック障害、うつ病、身体表現性障害などがあります。
脳の様々な働きをまとめることが難しくなることで、幻覚や妄想などの症状が起こります。幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。自分のうわさや悪口が幻聴として聞こえてくるなどの症状もみられます。妄想には、嫌がらせをされていると思い込む被害妄想や、インターネットやテレビが自分に関する情報を流していると思い込む関係妄想などがあります。
周囲から見ると、「独り言を言っている」「悪口を言われたなどの被害を訴える」「話がまとまらず支離滅裂になる」「一人でいることが多い」などがサインとして表れます。本人には現実味があり、それが病的な症状だとは気づきにくいものです。早く治療を開始するほど、回復も早いため、ご家族や周囲の方がサインに気づき、医療機関への受診へつなげることが重要となります。
聞こえない声が聞こえる、見えない物がみえるなどの症状が出る代表的な疾患として、統合失調症、認知症があります。
恐怖感から、恐怖感を消すためには行わないといけないという考え(強迫思考)に支配されて、苦痛で馬鹿らしいと思いながらも同じ行動(強迫行為)を繰り返す状態をいいます。
不潔感や病原菌の感染への恐怖(不潔恐怖、感染恐怖)から、何度も手や身体を洗わないと気が済まない(強迫洗い)、玄関の鍵のかけ忘れやお釣りの金額や仕事上のミスの有無を何度も確認(確認強迫)するため、なかなか次の行動に安心して移れないなどの症状が認められます。
また発達障害でイマジネーションの質的問題を認めるかたでも、何度も確認してしまうことがあります。高齢の方だと、物忘れなどの認知機能の低下にともない、何度もおなじことを聞いたり、確認することがあります。
何度も同じこと聞いてしまう、確認しないと気がすまない症状が出る代表的な疾患として、強迫性障害、発達障害、認知症があります。
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