適応障害とは日常生活の中で、何かしらのストレスが原因となって心身に様々な症状が現れて支障をきたす状態をいいます。症状は憂うつ、不安、頭痛、不眠など、さまざまで、仕事や学業などに支障をきたします。子どもでは夜尿症、幼稚な話し方、指しゃぶりなど退行現象を認めることがあります。ストレス因子に対する反応であり、症状はストレスが生じてから1ヶ月以内に出現し、情緒面や行動面で多彩な症状がみられます。
通常、症状は6ヶ月を超えません。うつ病と似たような気分の落ち込みが認められますが、因果関係のはっきりしているストレスがあり、その原因が解決すると症状は次第に改善する点が、うつ病とは異なります。ストレス因子が持続する場合には、症状が長引くこともあり、本人の適応能力の問題だけとは限りません。
どうしても合わない仕事、どうしても合わない人間関係などに悩み、努力はしてみたがどうしようもなかった場合には、気分が落ち込んだり、不安で眠れなかったりすることは、誰でも一度は経験しているかと思います。
ストレスにより、その状態が遷延すると、適応障害になることがあります。
つまり、適応障害は、どなたにでもなる可能性があるため注意が必要となります。
治療として、原因であるストレスを取り除いていきます。例えば、ストレスを与える人から離れるために助けを求める、休職をして職場環境から一度離れるなどがあります。
自分の意志では環境を変えられない場合は、本人がその環境に合わせて、行動や意識を変えて適応する力を高める方法もあります。その場合は、出来事への考え方を修正したり行動の仕方を変えたりして気分のコントールを図る認知行動療法などがあります。
また、抱えている問題やそれによって引き起こされる症状について解決方法を見出していく問題解決療法という方法がとられることもあります。
薬物療法には、各々の症状に対して、睡眠導入剤、抗不安薬や必要に応じて抗うつ薬や抗精神病薬などの向精神薬を使用していきます。
適応障害にならないためには、からだの健康と同じように、こころの健康も早めに対応することが大切になります。症状が出た時には、早めに専門の医療機関を受診するなどの対応が有用となります。
また、適切な休暇を取る、気分転換を心がけてリフレッシュする、相談相手を持つ、一つの人間関係に囚われずさまざまな人との関わりを持つなどのことが有用となります。ひとりで悩みを抱えずに、日常生活に支障がでるような症状がある場合は、早めに専門の医療機関の受診が大切になります。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。
適応障害の診断となれば、適応障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
TOP