パニック障害とは、環境にも限定されず、前触れもなく突然、動悸や息苦しさの症状が出現する反復性のパニック発作を主症状とする疾患で、パニック発作は死んでしまうのではないかという恐怖伴う苦痛な経験ですから、一度パニック発作を経験すると、再び発作に襲われるという予期不安が強くなり、パニック発作が起きるのを回避するために行動が変化します。
症状が悪くなると、発作の起こる恐怖と逃げ場がない恐怖などにより、電車やバスなどの公共機関を利用することができなくなり、続発性のうつ病になる可能性もあり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
不安は人間が生きるための基本的な機能です。その不安が日常生活に支障をきたすほど強くなり、パニック障害に発展するかの原因は完全には分かっていません。
ただし、パニック障害は、重要な人間関係の破綻や生命を脅かすような災害への暴露などのストレスが引き金になって生じることが知られています。身体の病気や薬の使用または中止によっても、不安が生じることがあります。
不安の原因になる身体的な病気として、不整脈などの心疾患、副腎皮質機能や甲状腺機能亢進症など内分泌疾患、慢性閉塞性肺疾患など呼吸器系疾患があり、パニック障害の症状に似ているため、これらの疾患との鑑別が必要になっていきます。
精神療法や薬物療法による治療が必要となります。特にパニック障害に対しては、さまざまな種類の精神療法が有効です。
暴露療法では、その人が予期不安を感じる状況や対象に、実際に、あるいは想像の中で繰り返し向き合わせ、刺激が効果を失うまで、不安を反復して経験してもらいます。
一般的には、簡単に耐えられる弱い暴露から開始し、暴露のレベルを段階的に実際の状況に近づけていって、実際に症状が生じる可能性が低いことを経験し自信を獲得していただくことを目的としています。また、パニック発作が起きる状況を回避せず、自分が今抱いている恐怖心には根拠がないことを認識し、ゆっくりとした一定の呼吸をするなど、緊張感を和らげリラックスする方法を学ぶなどの認知行動療法も有効です。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬と、ベンゾジアゼピン系薬剤など抗不安薬が有効です。抗不安薬は即効性がありますが、副作用に眠気や依存傾向となる場合があるため、通常は抗うつ薬の効果が出たら、用量を減らしていくことを目指していきます。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。パニック障害の診断となれば、パニック障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
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