統合失調症は、多くは思春期から青年期に発症する精神疾患で、「幻覚」や「妄想」といった症状が特徴的です。統合失調症を大きく分けると、症状によって妄想型、破瓜型、緊張型などに分類されます。
この病気は脳の神経ネットワークにトラブルが生じる「脳」の機能障害と考えられており、およそ100人に1人の割合で発症します。日本の統合失調症の患者さんはおよそ80万人程度と言われています。生まれながらストレスに対する脆弱性があり、そこに限度以上のストレスがかかると、脳内の神経系に異常をきたして発症すると言われています。
統合失調症の初期には、抑うつ気分、不眠、倦怠感など、うつ病のような症状を認める前駆期があります。その後、経過によって陽性症状(幻覚・妄想)、陰性症状(無為自閉)、認知機能障害、気分症状などを認めます。
経過は人によってさまざまで、非常に薬が効いて症状のコントロールがうまくいく方、そうは行かない方など、いろんな患者さんがいます。したがって、患者さんがどのような経路をたどるかの予測も難しいところです。ただ、「発症早期の治療」が重要であることは認められており、早期に専門の医療機関を受診することが大切です。
思い当たる症状があれば、早めに受診されることをお勧めします。
薬物治療が柱になります。症状のコントロールがつくようになったのちに、社会生活に必要なスキル、対人関係の向上のためSST(社会生活技能訓練)リハビリテーション(デイケアや作業療法)に参加することも大切です。
治療薬は、1950年代以後に登場した定型抗精神病薬(クロルプロマジン・レボメプロマジン・ハロペリドールその他)や、その後の新しい世代の非定型抗精神病薬(リスペリドン・ゼプリオン・オランザピン・アリピプラゾールその他)があります。また、剤型も進化しており通常の内服錠剤以外に内用液、口腔内崩壊錠、注射液、持続性注射液(デポ剤)を選択することも可能になっています。アドヒアランスを考慮し、患者さんの負担を軽減する薬物選択が重要になります。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。統合失調症の診断となれば、統合失調症の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。クリニックでの治療が困難な場合には、入院治療やデイケアの設備を備えた医療機関をご紹介させていただきます。
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