健康な睡眠とは、日中しっかり覚醒し眠気のない睡眠充足状態のことを言います。睡眠障害(不眠症)とは、睡眠に関して何らかの問題がある状態であり、入眠障害、中途覚醒、再入眠困難、早朝覚醒、熟眠障害と大きく5つに分けられています。睡眠障害の原因には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、生活リズムの乱れ、ストレスなどが考えられています。
一般人口を対象とした疫学調査によると、日本人成人の21.4%が不眠の訴えをもち、14.9%が日中の眠気に悩み、6.3%が寝酒あるいは睡眠薬を常用していると報告されています。睡眠障害によって国内に生じる経済損失は年間3兆4693億円と試算されています。
睡眠に問題があると、まず思い浮かぶのは睡眠障害ですが、それ以外にも昼間眠くて仕方がない、睡眠中に病的な運動や行動が起きてくる、睡眠のリズムが乱れて戻せない、など他の特徴を持つ疾患もあります。
睡眠障害によって、日中の眠気やだるさや集中力の低下などが引き起こされると、日常生活に支障をきたし、極端な場合にはさまざまな事故につながることもあります。また、睡眠障害が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などにかかりやすくなると言われています。そのため、睡眠障害は放置せず、早い段階で専門の医療機関を受診し適切に対処することが大切となります。
睡眠障害の治療で重要なことに、睡眠衛生教育があります。科学的根拠に基づき正しい睡眠知識を獲得することが大切になってきます。その他に、非薬物療法では認知行動療法、精神療法、高照度光療法などがあります。
薬物療法は、睡眠衛生教育などでも症状が改善しない場合に用います。睡眠障害の種類によって使用する睡眠導入剤が異なります。最近は比較的からだに優しい薬もあり、必要最小限の用量を使用します。また、睡眠障害の治療は疾患によって異なっており、睡眠薬の服用だけが睡眠障害の治療ではありません。症状やサイン、診察や検査の結果から、その原因となる疾患を適切に診断し、原因に応じた治療が大切となります。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。睡眠障害の診断となれば、睡眠障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
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