強迫性障害は、強迫観念と強迫行為の2つの症状が、少なくとも2週間以上、ほぼ毎日みられ、日常生活に支障をきたします。
強迫観念は、「鍵やガスの元栓をしめ忘れたのではないか」、「手にバイ菌がついているのではないか」(不潔恐怖)、「車で人をひいてしまったのではないか」(加害恐怖)などと、意思に反して繰り返し頭に浮かぶ考え、観念、イメージであり、不快感、不安、苦悩、苦痛を引き起こします。強迫行為とは、強迫観念を抑え込もう、振り払おう、消してしまおう、中和しようとして、「鍵や戸締りやガスの元栓などを何度も確認する」(確認強迫)、「何度も手を洗う」(洗浄強迫)、「何度も同じ道を通る」などのくり返す行動や儀式的行為のことです。
強迫行為は、自分でも過度で不合理でばかげた行動だと思いながらも行わずにはいられず、多くの時間やエネルギーを費やして社会生活や日常生活に支障をきたします。日本の大学生対象の調査では罹患率は約1%程度と推定されています。
強迫性障害の治療には精神療法、薬物療法があります。
精神療法では認知行動療法の中の暴露反応妨害法という治療を行います。暴露反応妨害法とは、患者さんを意図的に強い不安や恐怖に曝露して、それを解消するための強迫行為や儀式行為を行わせないこと(反応妨害)で、強迫行為を繰り返さないようにしていく治療法です。強迫行為なしで、不快感・不安感・恐怖感を長時間放置することで、これらの感情に慣らしていき、徐々に苦痛を減少させていきます。強迫性障害は根気よく継続的に治療をおこなっていく必要があります。
薬物療法では抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。抗うつ薬は飲み始めてから効果発現までに2〜4週間ほど時間がかかります。その他に抗不安薬や少量の抗精神病薬などを使用することもあります。
症状を完全に無くすことにこだわりすぎず、まずは日常生活に支障をきたさない状態、苦悩や苦痛が和らぐ状態を目指していくことが大切になります。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。強迫性障害の診断となれば、強迫性障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
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