不安というものは、危険から身を守るために備わっている人間の基本的な機能です。不安を感じることによって、危険を回避することができます。この機能は生きていくためには必要ですが、危険でもないのに不安を感じて日常生活に支障をきたすのが不安障害です。
不安障害には、前触れもなく、突然、動悸や息苦しさの症状が現れるパニック発作を主症状とするパニック障害、さまざまな出来事、活動に対して不安を過剰に持つ全般性不安障害、特定の状況、例えば電車など閉じられた空間に不安・恐怖を感じる空間恐怖(広場恐怖)、人前での会話に不安を感じる社会不安障害(対人恐怖)などがあります。突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害と言います。このパニック障害は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。
最初に発作が起きる原因には、過労やストレスなどが関係していると考えられています。その後、再発することへの強い不安(予期不安)によって発作が起こる場合もあります。
これらの不安障害は認知行動療法および薬物治療を中心に行われています。
認知行動療法には、主に臨床心理士による心理療法が行われています。認知の歪みがあれば修正していく、不安対処訓練、社会技術訓練、段階的暴露法、集団精神療法などがあります。
薬物療法は主にBZ(ベンゾジアゼピン)系抗不安薬や抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用します。効果が現れるまでには個人差があり、2~4週間で少しずつ症状が緩和されます。その間の不安の軽減には即効性のあるBZ系抗不安薬が使われることが多くあります。それぞれの薬剤には、効果や依存性、副作用などの点から、長所と短所があります。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。不安障害の診断となれば、不安障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
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