2024年10月08
パニック障害とは、環境に限定されず、前触れもなく突然、動悸、発汗、振戦、めまいや息苦しさなどの反復性のパニック発作を主症状とする疾患です。パニック発作は死んでしまうのではないかという恐怖を伴うことがあり、一度パニック発作を経験すると、再び発作に襲われるという予期不安が強くなり、電車や人混みを避ける、頼れる人がいない状況や一人で出かけることを避ける、あるいはエレベーター、映画館、美容院、歯科院、MRIなど逃げられない場所を避けるなど、自身の行動が変化します。症状が悪くなると、電車やバスなどの公共機関を利用できなくなり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。また、続発性のうつ病になる可能性もあります。
不安は人間が生きるための基本的な機能です。その不安が日常生活に支障をきたすほど強くなり、パニック障害に発展する原因は完全には分かっていません。
ただし、パニック障害は、人間関係の破綻や生命を脅かすような災害への暴露などのストレスが引き金になって生じることが知られています。また、身体疾患、薬剤の使用や中止によっても、パニック症状が生じることがあります。
不安の原因になる身体的な疾患として、不整脈などの心疾患、副腎皮質機能や甲状腺機能亢進症など内分泌疾患、慢性閉塞性肺疾患など呼吸器系疾患などがあり、パニック障害の症状に似ているため、鑑別が必要になっていきます。
パニック障害の治療には、精神療法や薬物療法があります。特にパニック障害に対して暴露療法が有効です。暴露療法には、フラッディングと段階的曝露という2種類があります。暴露療法では、予期不安を感じる状況や対象において、実際に、あるいは想像の中で繰り返し向き合わせ、刺激が効果を失うまで、不安を反復していきます。
一般的には、簡単に耐えられる弱い暴露から開始し、暴露のレベルを段階的に実際の状況に近づけていって、実際に症状が生じる可能性が低いことを経験し自信を獲得していくことを目的としています。また、パニック発作が起きる状況を回避せず、自分が今抱いている恐怖心には根拠がないことを認識し、ゆっくりとした一定の呼吸をするなど、緊張感を和らげリラックスする方法を学ぶなどの認知行動療法も有効です。
薬物療法では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬と、ベンゾジアゼピン系薬剤などの抗不安薬が有効です。抗不安薬は即効性がありますが、副作用に眠気や依存傾向となる場合があるため、通常は抗うつ薬の効果が出たら、用量を減らしていくことを目指していきます。
患者さんは、不安や恐怖に対処できるようなサポート(暴露療法・薬物療法)を精神科医と一緒に段階的にチャレンジし、自信を取り戻すことで回復を目指していくことになります。
当院では、精神科の専門医が診療を行っております。
お困りのことがありましたら、横浜市中区の精神科・心療内科である、横濱元町メンタルクリニックにご相談下さい。