2024年9月29
今回は、医療コラムではなく、横濱元町メンタルクリニックのある日常の一コマについて書きたいと思います。
当院には、開院祝いでいただいた立派なオリーブの木が待合室にあります。開院前の日課として、大切に霧吹きや水遣りを毎日しています。そんなある日、オリーブの鉢から1匹のヤモリが顔を出しました。人を見ても動じず、どこから来たのか分かりませんが、体型から子供のヤモリではないかと思われました。
オリーブはモクセイ科の常緑高木に属に分類される植物であり、ヤモリは爬虫網有鱗目ヤモリ科ヤモリ属に分類されるトカゲの一種です。
一つの見方として、今回の出来事は、ある木(植物)にトカゲ(爬虫類)がいたという、自然界ではごくごく当たり前のことであり、この事実に対して、何かこころが動くということは、特にないでしょう。むしろ爬虫類が苦手な方は、嫌な気持ちになるかもしれません。
一方で、オリーブには「平和」「安らぎ」「知恵」「勝利」などの花言葉があり、とても縁起の良い木であり、ヤモリには「家守」と書くように家の守り神など、幸運や守護の象徴とされる生き物とされています。
別の見方として、今回の出来事を縁起あるものとして意味を持たせるとどうなるでしょうか。縁起の良い木に、幸運の象徴の生き物が顔を出したと認識することで、自分のこころにも変化をもたらし、その日はとても良い気持ちとなり、活力が出ていることに気づきます。
こころを扱う精神科医にとっては、同じ景色ですが、考え方一つでこころの変化に違いが出ることは、とても興味深いことです。良い出来事だけではなく、悪い出来事に対しても、物の見方を変えて、こころの負担を軽減することはとても大切なことになります。「気(こころ)のもちよう」とはよく言ったものです。
このような些細な日常の一コマで、自分なりに物の見方を変えて、こころを整えてみてはいかがでしょうか。
当院の患者さんで、幸運のヤモリを院内で見つけた際は、そっと見守っていただけたら幸いです。
お困りのことがありましたら、横浜市中区の精神科・心療内科である、横濱元町メンタルクリニックにご相談下さい。