スピーチなどの対人的な場面で、不安や恐怖を多大に感じてしまい、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現する障害です。これらの症状から、人前など注目されるような状況を避けるようになり、症状が重い方は家から出られなくなる方もいて、日常生活や社会生活を円滑に送ることができなくなってしまいます。社交不安障害の割合は3〜13%と高く、10代での発症が多いと言われています。
治療には精神療法、薬物療法などがあります。精神療法では、不安や緊張する場面を知ることや、負の感情が生じた際の対処方法を身につけることで、日常生活を円滑に送ることを目指していきます。薬物療法は抗不安薬や抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などを使用していきます。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。社交不安障害の診断となれば、社交不安障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
診察や検査所見は特に異常所見がなく、身体的には問題ないという医師の保証にもかかわらず、執拗に検査を要求し、繰り返し身体症状を訴えます。症状は、腹痛や嘔気、異常な皮膚感覚、性に関する訴えや月経に関する訴え、自律神経亢進症状、激しい痛みなど、多彩な症状が出現します。
内科などを受診して検査等で問題ないことから、医師より「精神的なものではないか。」と言われることがよくあります。身体表現性障害には、身体化障害(2年以上にわたっていくつかの身体症状を訴える)、心気障害(重大な病気ではないかとの強い囚われ)、身体表現性自律神経機能障害(動悸、発汗、紅潮を訴える)、持続性身体表現性疼痛障害(慢性的な痛みを訴える)などがあります。ただし、身体に病的変化が確認される(内視鏡でガンを認めた)などして、精神症状を認める場合は心身症と診断されます。
治療は精神療法や症状に伴う、うつ状態や不安に対して薬物療法を行う場合があります。身体表現性障害の患者さんは、自分の身体症状が精神的な原因であると認めることが難しいため、なかなか精神科的な治療に結びつかないのが現実です。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事をうかがいます。身体表現性障害の診断となれば、身体表現性障害の症状をていねいに説明し、一人ひとりの状況にあわせた治療を一緒に行っていきます。
認知症は加齢による脳の老化とは異なりますが、誰もがかかる可能性がある身近な病気のひとつです。認知症とは、後天的な脳の器質的障害により、いったん発達した脳の機能が低下した状態でアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などに分けられます。
アルツハイマー型認知症は認知症の中でいちばん多く、男性より女性に多く見られ、脳の機能の一部が萎縮していきます。血管性認知症は比較的男性に多くみられ、全体的な記憶障害ではなく、一部の記憶は保たれている「まだら認知症」が特徴です。
認知症の症状には中核症状と認知症の周辺症状(BPSD)に分けられます。中核症状は記憶障害、見当識障害や実行機能障害になります。周辺症状には、抑うつ、不安、幻覚、妄想、暴言・暴力などの精神障害や行動障害があるため、必要に応じて薬物療法を行っていく必要があります。
認知症を完全に治す治療法はまだありませんが、早期に診断することにより、薬によって進行を遅らせることができます。原因によっては症状が急激に進んだりする場合がありますので、早期発見、早期治療で進行を抑え、症状を軽くすることが大切になります。
当院では認知症を診断するCTやMRIなどの設備がないため、検査に関しては設備のある医療機関を受診していただきます。簡易検査を含め認知症の診断となれば、認知症の症状を患者さんやご家族にていねいに説明し、認知症の主症状と周辺症状に合わせた治療を一緒に行っていきます。ただし、認知症が進行し、ご自宅でみることが出来ない状態になった場合には、一時的に専門の医療機関に入院していただくこともあります。
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